値切る客
もう二十年以上前のことですが、知人から
「税務申告をしてくれる会計事務所を
探している社長がいるけど、
あってみないか？」と誘われ、
運送会社の経営者と 会うことになりました。
軽貨物運送の会社を、
ひとりでやっている 当時40代の男性でした。
個人業で始め数年たってから、得意先の会社が、
「会社形式にしないと頼めないことになった」
ということで、会社にしたそうです。
その為、会計事務所を頼もうと思ったのです。
私は、その運送会社の経営者にあって
会計事務所の仕事内容と 料金などについて説明し、
毎月の料金や
申告の時に係る料金のことも説明しました。
するとその経営者は
「高いなあ、そんなにとるの？」
「値段が合わないのなら、いいんです。
相場よりも安い料金を
提示させていただきましたが、
これでも都合がつかないのなら、仕方がありません。
他を当たってください」
ということで、断りました。
すると1週間くらいたってから、電話があって、
「その料金でお願いします」と
依頼を受けました。
多分他の事務所にも、
料金のことを探ったのだと思います。
そして私が、
自分のいいようにコントロールできると思ったから、
私に依頼してきたような気もします。
ウソつきで、約束を平気で破る
最初に何日かかけ、何時間もかけ
帳簿の書き方や、補助簿の書き方などを
説明しました。
今まで 何年間か個人業でやっていたから、
記帳はできると思っていたのですが、
全然できません。
この人、
まったく帳簿を書いていなかったのです。
個人業の時の決算は、
適当に集計して、
税金を少なくして申告していたんです。
これダメだ！と思いました。
すぐに「あーあっ」と、
目の前で大あくびはするし、
遊びの話をし始めるし、
帳簿の書き方を覚える気がまったくありません。
40過ぎて子供みたいな人でした。
「とっちゃん坊や」です。
定期的に合って、
現金帳の書き方や領収証の整理なども
教えようと思っても
約束の日の 約束の時間のちょっと前に、
「今日、仕事。キャンセル」
と電話がかかってくるのです。
毎回約束を破られるので、
いい加減な人だとわかり
相手にするのか嫌になりました。
・人の話は聞かない、
・わざとあくびする、
・説明に行く約束しても、
当日になって突然断ってくるので、
もう「とっちゃん坊や」を
相手にすることが嫌になりました。
そして帳簿は、
いつになっても書かないのです。
やる気がないことが分かったので、
領収書等をきちんと整理することを条件に、
記帳代行をすることになりました。
そして、記帳代行分の料金は
別段もらわないで、
顧問料だけで、
最低料金でやることになってしまいました。
「とっちゃん坊や」に、
うまくやられた感じもしました。
料金を一になっても払わない
そして、3か月たっても
一向に料金を支払ってくれません。
領収書の整理なども、
私がしなければなりませんでした。
めちゃくちゃな人でした。
何一つやろうという気がないのです。
得意先の売掛金元帳、
外注費の帳簿も全く書きません。
メモみたいなのを
高齢の母親に書いてもらって管理する程度でした。
私が、帳簿や請求書等のことをくどくど説明して、
何度もきちんと整理し、補助簿も書くように
話すのですが、、
「今度こそきちんと、領収書も整理するし、
お客さんや外注の帳簿も書くよ。
うるさいなあ。約束も守るよ。次はちゃんと会うよ。
だって急に仕事が入っちゃうんだから、
仕方ないだろう」
そして、こちらの料金がたまっていることを
つげ催促もしました。
「ああ、あとお金ねっ。払うよ。
すごく高いんだよね。
あんなに払ったら、
俺生きていけなくなっちゃうけど」
「あーあー、困ったなあ、取り立てがきびしくて…」
「食費がないから、今月分は払えない」
「借金して払うから、ちょっと待ってて」
「いいなあ、儲かって、貧乏人からいっぱい金取って」
「その金で、おごってよ」
そんなことばかり言うんです。
はっきりと言わないのですが、
遠回しに値切ってばかり、嫌みばかり言うのです。
もう本当に嫌になり、経理を請け負うのは、
何回もことわりました。
そのたびに
「悪かったよ、もう値切らないよ」
「キャンセルしないよ」
「領収書きちんと整理するよ」
私を からかって、
安く使おうという気持ちいっぱいの人だったのです。
セルシオやＢＭ等の
高級セダンばかり乗っていた資産家の
「とっちゃん坊や」という感じ。
とても変わった人で、
こっちが振り回され頭がおかしくなりそうでした。
15年位付き合わされました。
こんな顧客はもうこりごりです。
